paristable1930′

修理

「1930年代パリで制作さらたテーブル」伝。
と聞いてピンとこなったのだけど
全てを解体して掃除してみると
使われているビスの形状からその頃と判明した。
何回か、修理の痕、改造の痕があり、
最終的に2台の違う家具が一つになったように思う。
ヨーロッパオーク材とエルム材が使用されている。
エルム材は削ると日本の欅そっくりで芳香が微かに漂った。

修理というのは開けて何が飛び出すのかわからない恐ろしいもの。
と同時に、
当時の職人さんの仕事や考え方が手に取るように推測されることや
使用してきた人の使い方の痕跡や、
家具の辿ってきた運命のようなものまで見えてくるのはおもしろい。

現在の持ち主の依頼は、
「骨董的価値はいらない」ので使えるようにして欲しいとの要望で
構造的に補強して揺れをなくし、
波々にうねった天板を平滑に直すことを優先とすることで依頼を受けた。

それでも全部を解体し一か月に及ぶ格闘である。
テーブル修理はいつのまにか
数奇な運命で傷つき倒れ、日本にたどり着いた90年代パリのマドモアゼルの
再生という感覚に変わった。

さて、21世紀に復活した彼女は日本でどんな余生を送るのか。